枝川研究室は主に「固体の原子配列秩序と物性の関係」について研究を行っております。
研究テーマは大きく以下の3つに分かれています。


準結晶に関する研究

 長い間、固体の原子配列の秩序形態は結晶(周期秩序構造)とアモルファス(何ら長距離の秩序をもたない構造)の2種類に分けられると思われていました。ところが、1984年にイスラエルのシェヒットマンによって、結晶とは異なる全く新しいタイプの原子配列秩序をもった物質が発見されました。それが準結晶です。固体の原子配列の秩序形態にどのようなものがあるかは、自然科学において基礎的で重要な問題の一つですが、結晶とアモルファスの2種類に分けられるものとして、この問題はとっくに解決済みと思われていました。それが準結晶の発見により覆ったのです。その後の準結晶研究の進展により、これが真に、自然科学史上の画期的な発見の一つと認識されるに至り、2011年のノーベル化学賞が発見者のシェヒットマンに贈られました。
 枝川研究室では準結晶の特殊な弾性自由度「フェイゾン」に関する研究、特殊な相転移に関する研究、準結晶の成長機構、すなわちどのような機構で原子が集まって準結晶構造秩序を形成するのか、を明らかにする研究などを行っています。
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非周期フォトニック物質に関する研究

 誘電体が光の波長程度の周期性をもって配列した人工的な構造体である「フォトニック結晶」では、結晶構造をうまく設計することにより、特定の周波数領域の光の伝播をあらゆる方向で禁止する3次元フォトニックバンドギャップ(3D-PBG)が実現します。そのような3D-PBGをもつフォトニック結晶中に欠陥を導入することにより、その欠陥の微小領域にギャップ内周波数の光を閉じ込めることができます。このような微小領域への光の閉じ込め効果を利用すれば、極小な光共振器、急峻な曲げに対してもロスのない光導波路、極小なレーザー等の従来実現不可能であった光制御素子が実現可能となり、さらにはそれらを高密度で集積した光集積回路の実現も視野に入れて研究が進められています。
 従来、フォトニック結晶による3D-PBG形成、またそれによる光閉じ込め効果はフォトニック結晶の周期構造に由来して現われるものと思われていました。ところが最近我々は周期性を全くもたないランダムネットワーク構造でも大きな3D-PBGが形成することをFDTD法による数値計算によって発見し、マイクロ波帯の実験により実証しました。枝川研究室では、そのようなランダムネットワーク構造による3D-PBG形成機構の解明、テラヘルツ帯、さらには光波帯サイズの試料作製および光制御素子の実現をめざした研究を行っています。
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トポロジカル絶縁体中転位を利用した新規高性能熱伝変換材料の開発

 熱伝変換材料とは、熱エネルギーと電気エネルギーの直接変換を可能にする材料のことです。高性能な熱伝変換材料を用いれば、廃熱から電気エネルギーを効率よく取り出すことが可能になり、エネルギー問題の解決に大きく貢献できると期待されています。
 一方、トポロジカル絶縁体とは、絶縁体表面に、ある特殊な金属状態を有する物質のことです。この表面状態は、電子がディラック粒子のように振る舞う、非磁性不純物等に対して強固である、などの特殊な性質を持っています。2009年には、トポロジカル絶縁体中のある条件を満たした転位が、表面と同じような特殊な金属状態を示すことが理論的に予測されました。
 枝川研究室では、トポロジカル絶縁体中の転位を利用した、高性能な熱伝変換材料の開発を目指し、研究を行っています。

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